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とある山奥の人里離れた村。 そこに野鳥の観察に来た四人の中年男性がやってきた。 町のはずれにある小さな食堂で簡単な朝食を済ませた一行は、食堂のおばさんにこれから山の奥地へ野鳥の撮影に行くことを告げた。 おばさんはいぶかしげに四人を見て言った。 「そりゃけっこうなことじゃが、もしも山の中で赤い壁の家を見つけたら何があっても決して入らないようにな。そりゃ、「角の家」といって、土地のものが昔から決して近づかない恐ろしいところじゃ。」 「どう恐ろしいのですか?」 明らかに面白がっている口調で男の一人が聞いた。 「あそこは昔、下界を逃れた無法者たちの隠れ家になっていてな。その者たちが時々女をさらっていって、さんざなぶりものにしたあげく、むごたらしく殺して家の下に埋めたんじゃ。言い伝えに寄れば、全部で四人の女が殺されて、それぞれ、家の東西南北の角に一人ずつ埋められたそうじゃ。その魂が今でも成仏できずに残っていて、誰かが家の4つの角を全部同時に見てしまうと、悪霊となって復活し、家の中にいる者をみんな取り殺すと言われとる。気をつけなされ。」
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四つ角 |
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四人がそのことに気がついたのはすっかり日が暮れてからだった。 困った四人はでたらめに歩き回ったが、かえって奥へ入ってしまったらしく、すっかりへとへとになってしまった。 そこへ予期せぬ大雨。 困った四人がどこか雨宿りできる場所を探していると、ふいに赤い家が森の中に現れた。 家の前まで出た四人だったが、入ろうと言い出す者はさすがにいなかった。 ふもとの村では田舎の作り話にしか聞こえなかったことも、雨の森の闇の中では怖いほど説得力があった。 そして、その赤い家は想像していたよりもはるかに不気味だった。 朽ちた木の小屋の外側はすべて赤いペンキで乱暴にぬりたくられている。 まるで何かを隠すために慌てて塗られたようだった。 ためらうだけためらった四人だったが、すでに体は雨で冷え切っていて、周囲にほかに屋根もなく、選択の余地はなさそうだった。 それでもなかなか中へ入れない一向に一人が提案した。 「要するに四つの角を同時にみなければだいじょうぶなんだろ。」 「でも、中は大きな部屋がひとつだけみたいだぜ。絶対に見ちまうよ。」 「だからこうするんだ。ちょうど四人いるから、一人ずつ角を背にして座ろう。そうすれば絶対に同時に四つ角を見ることはないはずだ。」 四人はこの名案に同意して、その通りにした。 無事にそれぞれ角を背にした四人だったが、家の中は真っ暗で思った以上に広く、お互いの姿がまったく見えなかった。 怖くて誰も眠れなかったので、またまた一人の提案で、一晩中、交互に見張りをすることになった。 二時間交代で最初に東の角の男が見張りをして、時間が来たら壁に沿って北の角のやつを起こしに行く。 次に時間が来たら北の角の男は西の角の男を起こし、さらに二時間後、西の角の男が南の角の男を起こす。 南の角の男が最初の男を起こす頃には無事に朝が来ているはずだった。 こうして恐ろしい一夜が始まった。 凍り付くような恐怖の中でも、疲れから男達は浅い眠りに落ちることができた。 見張りの番の男はきっと自分の番の時に何かが起きるとおびえながらも、それぞれ順番に役目を果たしていった。 そして、怯える男たちの心配にもかかわらず、東の男が南の男に起こされた頃、無事に朝が来ていた。 外に出た四人を待っていたのは明るい太陽で、その下ではなんだかすべてがばかばかしくて、全員が顔を見合わせて笑った。 あんまりばかばかしいので、四つの角をみんなで見てやろうということになった。 そして実際に見てみたが、やっぱり何も起こらなかったので、四人はまた笑った。 「それにしてもみんなえらかったよな。ちゃんと見張りをやって。」 東の男が笑いながら言った。 「てっきり寝てしまうやつがいると思ったよ。」 南の男も笑って言った。 「ああ、まったくだ。ちゃんと順番どおりにやるなんてみんな律儀だよ。」 西の男も笑って言った。 ところがふと見ると、なぜか北の角にいた男だけが顔が真っ青になっていた。 不思議に思った一人が尋ねると、北の男は震える声で西の男に聞いた。 「おれ、ちゃんとおまえを起こしたか?」 「何言ってるんだよ。時間通りだったぜ。」 北の男は悲鳴に近い声でほかの三人に告げた。 「そんなはずない! そりゃあり得ない! だって、おれ、うっかり朝まで寝てたんだから!」
背後の赤い家の中で何かが動いた。
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記念すべき第一作品、向山大先生(笑)からの賜わり物です。 |
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