あの頃……



……ぼくはいつもこんな景色を見ていた。
二棟の前に広がるこぢんまりとした中庭の片隅に腰かけ、
何をするでもなく、じっと足下の地面を眺めていたりした。

たまたま蟻が通りがかると、しばらくその蟻を目で追いかける。
それに飽きると、豆粒のような石ころを拾って手の中で
無意味に転がしてみたり、雑草を一本ずつ丁寧に
引き抜いてみたり……

そして、頭の中ではいつも自分を待っている
学校の外の広い世界に思いを馳せていた。

自分がいつか有名になって、思うがままに生きて、
お金をいっぱい稼いで、最高の家族を持つ予定の世界だった。
そこに座っていても、自分の輝かしい未来がまぶしすぎて、
こんなちっぽけな空間で先生の目を恐れながら
授業を抜け出している今の自分があまりに惨めに思えた。

早く大きくなりたかった。
早く世界を見に行きたかった。

そう考えながら、ぼくはよく小石を投げていた。

 

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