三回目の発売予定は9月だったが、ついにその9月がやってきてしまった。ぼくは一章は概ね終わって、五章をとばし、六章を軽く一周終えたあと、七章に入っていた。残り一ヶ月で五、七、八章を書かなければいけない。しかも、一章と四章もまだ完全ではない。三章にも書けずにとばしたシーンがひとつ残っている。宮さんの方もまだ挿し絵を数枚と、世界地図(これもすでに完成品がひとつボツになっていた)と、ミニカットをざっと五〇枚以上残していた。もはやあきらめて当然の状態だったが、ぼくらは意地でも仕上げようとした。その時の精神状態はもはや鬼気迫るもので、ほとんど寝る時間も食べる時間も設けず、最高で四〇時間以上書き続けることがあった。一日に原稿用紙50〜100枚を書く日が何週間も続いた。いったいいつ寝たのかもよく憶えていない。下の階では交代で仮眠を取りながら、誰かがいつもワープロを打つパチパチという音がしていた。(フライングの時だけはパパパパパパ。)もはや恥も外聞もない。みんな目の下を真っ黒にして、そのへんの床で寝ていた。外がどんな季節なのか、もうさっぱり分からなくなっていた。
それでも、まだ「童話物語」は終わらなかった。