039/ペチカ

 

 

【解説】(1996年)

そうこうしているうちにもう96年も夏を過ぎていた。ぼくは連日スタジオの二階に閉じこもって、一人で書き続け、宮さんは一階で画材を広げて、来る日も来る日も絵を描いていた。スタジオの隅に設けられたコンピュータコーナーでは洋司が毎日のように仕事が終わってからやってきて、何十枚ものサンプルを手に、キャラクターの絵の調整をフォトショップで行っていた。キャラクターの絵も本来はカラーで掲載したかったのだが、予算の都合でままならず、仕方なくフォトショップで一枚一枚、なるべくきれいにモノクロ化しようということになったためである。「旧・童話」のイラストは実は小さなミニカットも含めて、原画は全てカラーなので、それを洋司が一枚一枚手作業でモノクロ化していった。ただ、グレースケールに変換するだけでは画像がつぶれてしまうので、洋司はひとつの絵をパーツごとにすべて選択範囲に起こし、10枚とか20枚とかのレイヤーを駆使して絵に陰影をつけていった。結果、常識はずれの安物のスキャナと、中ぐらいのプリンタと、64メガしかメモリのないパフォーマ(!) で見事に高品質のDTPを可能にした。新バージョンで加わるねこぞうの校正能力と併せて、こういった目立たないが、狂気にも似た努力が初めて「童話」を可能にした。だからこそ、童話物語の最後にはスタッフロールが掲載されている。上記はやっと完成したペチカ。カラーでの公開はこれがはじめて。旧・バージョンを持っている方はぜひモノクロ化されたものと比較して、洋司の苦労を見てほしい。

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