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2005年12月25日
たぶん今年最後のワンパラ
今日は12月25日、クリスマス。
十代の頃は彼女のいないクリスマスが来るたび、やけになってセブンやフライングたちと「愛は勝つ」を大音量でかけながら違法駐車しているカップルたちの車の脇を通ったりもしたけど、今では妹の子供をあやすのがクリスマスイブの中心的な行事になってしまった。十代のぼくが描いていた、35歳ぐらいになった時の理想のクリスマスは、どこかの美しいホテルのスイートの窓からワインを片手に眼下を眺めながら、「キャビアをダースで」みたいな注文をルームサービスにかける休日を送ることだったのに、実際にはうさぎが印刷されたピンク色のプラスチックのスプーンを戦闘機に見立てて、口で「ブーン、ガガガガ」という効果音をつけながら、はしゃぐ一歳児の周りをグルグル回るのが今日のハイライトだった。
人生の理想はそうはかなわない。でも、きっとかなわない方がいい理想だってある。
今のところ、ぼくはホテルのスイートに泊まったことはないし、もちろんキャビアをルームサービスで頼んだこともない。それどころか、未だにキャビアととんぶりの違いも良く分からない。
でも、家族元気で揃って過ごすことができたし、やってて楽しいこともいくつかある。十年前のイブのように、クリスマスカードと一緒に財産差し押さえ通知が送られて来たりもしない。何よりも、三十五年も生きていて、まだそんなに世の中のことを嫌いになっていない。
この世にいくつパラレルワールドがあって、そこに何人の自分がいて、彼らがどんな素晴らしい生活をしていたとしても、ぼくは今ここにいる方がいい。なぜなら、ぼくが好きな人たちはここにしかいないから。優しい家族も、スタジオのバカな仲間も、笑い合える多くの友達も、ここにしかいないから。ホテルのスイートも、ルームサービスのキャビアもなくても、家族と一緒に食べる薄味のマカロニグラタンがあるから。——だから、ここがいい。
少なくても今どこかのスイートにいる理想の自分よりは、きっと今日、ぼくはずっと幸せな一日を送ったと思う。
メリークリスマス!
あなたが自分の理想よりも、ずっといい場所にいますように。
投稿者 向山貴彦 : 2005年12月25日 03:38