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2005年07月08日

証拠写真もあります

前回のワンパラに書いたような中学生男子の愚行を読んでも、「まあ、大げさに書いているのだろう」とか、「子供だからよね」と考えてしまう女性のために、男という生き物がどのくらい甚だしく頭が悪いのかを説明するために、ぼくが良く使う話というがある。

この話、たぶんずっと前にもワンパラで書いたことがあると思うのだが、世界の裏側のヨーロッパでは、毎年ドーバー海峡を巨大なパチンコで渡ろうと試みている男性たちが集まるイベントが開催されている。これは高さ数十メートルのYの字の形をした建造物に、巨大なゴムバンドをつけ、そこに全身を防護服やライフジャケットに身を包んだ男子が乗り込み、反対側の陸地めがけて力一杯はじきとばされるという主旨のものである。現在まで向こう岸ににたどり着けた人間は一人もなく、負傷者は数知れず、死ぬ者さえ出ている。しかし、一向にやめようとする人はいない。——もちろん、彼らは強制的にこれをやらされているわけではない。大喜びでやっているのである。

この話を聞いた典型的な女性の反応:「なんでー!?」

この話を聞いた典型的な男性の反応:「すげー!」

これが永遠に互いを理解できない男女間の深い溝の正体である。

この例を長年使わせて来てもらったのだが、つい先日、「男子馬鹿学」の権威であり、このジャンルでのぼくの師匠でもあるコラムニスト、デイブ・バリー氏がさらに適切な例を紹介してくれたので、今後はこっちの新しいバージョンを使っていこうと思う。
その例とはこういうものだ。

男子というのはなぜかアウトドアで炭を起こして、食べ物を焼くという行為に強い憧れを抱く動物である。それがたとえ580円でオリンピックの地下で買ってきた炭で、近所の公園の時間貸しのバーベキュー場でししゃもを焼くことであっても、なぜか野生の血が騒ぐのである。それはズバリ、「炭を起こす」という言葉の響きには、何か男性にしか分からない浪漫があるからだ。
ところが一度でもやってみたことがある人ならすぐに分かることだが、この「炭」という物質、実際にはちょっとやそっとのことでは燃えない。着火材を山のように積み上げて点火すると、しばらくの間、囂々と燃えさかるように見えるので、ほとんどの男性はそれで満足し、ビールを飲み始めてへべれけになった頃、着火剤が全部燃え尽きたあと、無傷で炭の山が残っていることに気がつくことになる。しかも、その頃にはバーベキュー場は閉園1時間前なので、ししゃもは家に帰ってオーブントースターで焼くのが通例だ。

これは男性としては大変屈辱的な経験である。このような形でプライドを傷つけられた男は炭を起こすことに対して異常な執着心を憶える。しかも、ただ起こすのではない。誰よりも早く、一秒でも早く、炭を起こせるようになりたくなるのだ。

おそらくアメリカの大学のエンジニアであるゴーブルさんもそういう一人だったのだろう。彼は学部恒例の毎年のバーベキューの席で炭が点火するのに時間がかかりすぎることに苛立ち、エンジニア仲間とこの件について激しく議論したという。その結果、なんとか炭を起こす時間を短縮しようと、まずは着火時にドライアーで風を送ることを思いついた。これが若干効果があったので、それならもっと効果的なのではないかと電気掃除機を用意したらしい。

この時点で女性であるみなさまはすでにかなり顔をしかめていると思うが、これは男性が「こうなったらやるしかないだろう」モードに突入する際のきっかけに過ぎない。常識ある女性のみなさまなら、この時点で十分納得し、普通に食べ物を焼き始めるはずである。しかし、ゴーブルさんたちは男性である。我々男子がここで考えることはただひとつである。

火炎放射器。

最初はプロパンガスの火炎放射器を使っていたゴーグルさんたちだったが、翌年にはそのためだけに導入したアセチレンガス式の火炎放射器を用いるに至った。この時、彼らは通常の何十倍もの炎症力のある圧縮酸素を使うことも思いついた。結果、この組み合わせはあらゆる炭を数分で点火できるという恐ろしい成果を挙げた。

これがこの話のオチだと考えているあなたは女性である。

我々男子にとって、「数分」というのは「数秒」を目指すための通過地点に過ぎない。もはや食べ物のことなど誰も考えていない。男子がこの時点で考えていることはただひとつ:「歴史上一番早く炭を点火させた名誉ある男」になることである。

翌年、ゴーグルさんはどこかから、液体酸素を手に入れてきた。
液体酸素が何か良く分からない人のために補足しておくと、液体酸素とはロケットエンジンに使用される燃料のことである。零下265度で保存し、通常の酸素の600倍の濃度のものである。おそらく気がついていると思うが、そこらのスーパーで簡単に買えるものでは断じてない。当然極めて危険な物質なので、ゴーグルさんは数十メートルある柄がついたバケツで、火のついたマッチが挟まれている大量の炭の山にこの液体酸素数リットルを流しかけた。

証言に寄れば、火が液体酸素と接触した瞬間、小型の太陽に似た、中心温度が最大1万度に達する火の玉が出現したという。炭はわずか三秒で最大加熱状態へ達した。
些細な問題として、上にあった金属製のグリルが跡形もなく消し飛んでしまったことと、一歩間違えるとゴーグルさんの町も地図上から消えたかもしれないことを除けば、この偉業は間違いなく炭着火の世界記録のはずである。

この話を聞いた典型的な女性の反応:「何か精神疾患のある人だったの!?」

この話を聞いた典型的な男性の反応:「じゃあ、まだ誰も核融合は試してないわけだね。」

どうしても信じられないという女性の方は、このサイトに残っている証拠写真をごらんください。

投稿者 向山貴彦 : 2005年07月08日 19:30

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