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2005年06月12日
サンドイッチマンの思い出
先ほど台所で手作りのチリを作っていて、ふと子供時代の家庭科実習を思い出した。
実は男子にあるまじきことなのだが、家庭科は当時から大好きで、しかも大得意だった。包丁で野菜を切るのも、味付けをするのも、あまり習った憶えがないのに、なぜかうまくできた。だから小学校時代のぼくの一番栄誉ある瞬間は、女子を含めたクラスの誰よりもサンドイッチを切るのがうまいことが判明して、全員の分を代わりに切って回ったことである。その年の学年末の文集には、「サンドイッチマン」という、今考えるとぜんぜん違う職業の人として紹介されていた。
確か、「向山は日本一のサンドイッチマンだ!」という言葉を誰かがぼくの紹介のところに書いてくれていたと思う。その時はとてもうれしかったのだが、きっと五十歳の同窓会か何かにこの文集が出てきたら、いったいぼくは当時何をしていたのか、たぶん自分でも思い出すのが不安になると思う。
実際、男子の技術工作セットよりも、女子の裁縫箱の方が好きだったし、昆虫採集なんかよりも、リリアンの方がよほどやってみたかった。(もっとも、そんなことを口にしたら、卒業までずっとあだ名が「リリアン向山」になっていたはず。)三十分以上電池を入れてたら発熱し始めるラジオや、座ると壊れる椅子を作るよりも、絶対豚汁やロールケーキを作る方が楽しいと思った。
だから、中学に入って、男子は家庭科を選択できないことを知った時のショックはかなりのものだった。あまりのショックで技術の授業なんて受ける気にならなかったので、よく実習の時には作業をほったらかして、はんだごてでヤマソーのズボンを焼いたりしていた。
それにしても、今考えてみると、小学校の家庭科で習ったことはけっこう良く憶えている。掃除機のあて方とか、出汁の取り方とか、レモンの絞り方とか、ぞうきんの縫い方とか、今でも使っている知識がけっこう多い。今の小学校ではどんな感じで授業が行われているのかは知らないのだが、「ゆとり教育」だろうと、「詰め込み教育」だろうと、あれは絶対に削ってほしくない授業だと思う。
さらにふと思い出した。
……そういえば、アメリカの小学校にも家庭科があった。
アメリカの小学校は一年も行っていないのだが、その時受けた何回かの調理実習のメニューがすごかったので、鮮明に記憶に焼き付いている。小学生のぼくでも「変だろ、これは」と思う内容だったのだが、アメリカの同級生たちはなんら疑問を感じていなかったような気がする。
家庭科への万感の思いを込めながら、最後にそのアメリカの学校の「家庭科」で作ったものベスト3を紹介して終ろうかと思う。
1、アイスクリーム
……そもそもこれは調理といえるのだろうか。 一時間ほど生クリームを攪拌させて、バニラアイスクリームを作らされた憶えがある。この間、ぼくらがやっていたことというのは、代わる代わるハンドルを回していただけなのだが……。
2、ホットドッグ
ソーセージを焼くだけ。アメリカ人は大ざっぱなのでパンを温めようともしない。少し賢いゾウガメでもできそうなこの調理を、しかも、うちの班は確か失敗したような気がする。
3、わたがし
もはや「調理実習」といえる限界ギリギリのところ。先生がどこかの店から借りてきたわたがしの機械を設置して、みんなで棒にわたがしをまきつけたり、となりの女の子の髪にわたがしを編み込んだりしながら、一時間を過ごした。しかも、授業の最後に採点された気がするのだが、いったい何を採点したのだろう。未だに謎。
投稿者 向山貴彦 : 2005年06月12日 00:07