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2005年04月15日

事前精算機の怪

実は前からずっと謎に思っていたことがあった。

うちの駅前にある大型デパートの駐車場がつい先頃大改装をして、今年になって再オープンしたばかりなのだが、毎回そこに車を停めるたび、どうにも不思議でしょうがないことがあった。

この駐車場、昨年までは駐車券と一緒に出口のおじさんにデパートで買ったもののレシートを渡して計算してもらう、昔ながらの方式を貫いていたのだが、さすがにそれだといつも出口周辺が渋滞してしまうためか、今年から全自動のシステムに入れ替えられた。つまり、入口で機械から券を受け取り、出口で機械にそれを差し込んで、指定された金額を払うというおなじみのものだ。2000円以上買い物をしている場合には、あらかじめ売り場で駐車券を渡して割引をしておいてもらうことになる。別にどこにでもある、ありふれた駐車場のシステムなので、これ自体不思議でもなんでもない。

……と思っていたのだが、リニューアル後、二回目ぐらいに駐車した時、奇妙なことに遭遇した。
おそらく出口の混雑を減らすためだと思うが、この駐車場にはけっこうな数の事前精算機が各階に置いてある。たまたまそのひとつの前を通ったので、あらかじめ精算をしてから車に乗ったのだが、普通はもう一度出口のところで同じ券を機械に差し込んで、ゲートをあげてもらう必要があるものだと思う。

ところが、事前精算をすませて車で出口に向かうと、窓さえ開けてないのに、いきなりぼくの前でゲートが開いた。その時はてっきり機械の故障だと思って、思わず「しまった。事前精算してなかったらタダで出られたのに!」などと姑息なことも考えたりしてみた。

で、数日後にもう一回駐車場を使う機会があったので、前回のことを思い出し、また壊れてくれないだろうかという淡い希望の元(どのくらい淡い希望かというと、三時間も停めっぱなしにして、何も買い物をしない、というほど淡い希望である)、わざと事前精算はせずに出口へ向かった。すると、前のはやはりなんらかの故障だったのだろう——しっかりゲートの機械に1800円とられた。

ということで、ぼくの中では「前回のは故障」という結論に達し、そんなこともすっかり忘れていたのだが、それからさらに一週間後、再び駐車場から出ようとしたぼくの前でまたゲートが勝手に開いた。
そう。察しのいい皆様はすでにお気付きのことだろう——今回の場合は事前精算をしていたのだ。

ぼくは思わず背筋に寒気が走った。
駐車券を見せてもいないのに、いったいなんで払い終わっていると分かるんだ?

誰かがぼくの手に持っている駐車券のスタンプを見て、リモコンでゲートを開けているのかと思い、あわてて周りを探してみるも、見張られている様子はなし。ちなみにすぐ後ろの車はしっかり停められて、ちゃんと精算もさせられている。

いったいどうやって事前精算機で精算したことを券も見ずに判別しているのだ!?

実は気になってしょうがなかったので、今日また駐車場に行って、再びわざと事前精算を見送り、ゲートに向かってみた。今度はもう油断はしていなかった。眼光を光らし、周りの人影をにらみつけながら出口へ進んだ。(前の人とバックミラー越しに目が合い、ものすごい怪訝な顔をされたりもしたが。)念のために駐車券を見られたり、赤外線で読まれたりしないようにポケットに突っ込んだままにもしておいた。
するとやはりゲートは開かない。

あまりに不思議で、首を傾げながら機械に駐車券を差し込もうとしたその時、いきなり機械の液晶画面にこっちが触れるより先、「ありがとうございました。あなたの車の駐車券番号は1527538です。」と表示されるではないか! あわてて駐車券を確認すると、正にその通りの番号である。

なんと! この機械、駐車券を発行する際に、どうやらなんらかの方法で車体を識別して、記憶しているのだ!

当然車種や色では同じ車が重なってしまうので、ナンバープレートか何かを憶えているのだろう。しかし、いったいそんなことが可能なのだろうか? そのあとずっと夕方まで考えていて、ふとぼくの車にはディーラーがただでつけてくれたETCが搭載されていることに気がついた。もしやETCと連動しているのだろうか? 

——残念ながら、まだ今回はこれ以上の結論に達していない。でも、いくらなんでもナンバープレートを機械が正確に読み取れるほどの技術があるとは思えないので、たぶんETCが正解なのではないかと思う。

おそらく、ETCの個別場号を読み取っているのだろう。
いや、そうに違いない。そう思って、とりあえずは納得することにした。

でも一方で、勝手にゲートのバーが上がる不思議な光景を見ていると、やはり本当は出口の機械の中に霊能力者が入っていて、ぼくが無意識に出しているチャクラを拾って、念力でバーを上げているのではないかという疑問も、完全には解消されないままでいる。

投稿者 向山貴彦 : 2005年04月15日 00:50