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2005年04月12日

茶髪戦隊バトルシスターズ 「サイン会」

バトルシスターズサイン会、会場前。
遅刻したバトルドドメがゼエゼエ言いながら裏口へ駆け寄ってきて、警備員に止められる。

ドドメ:「良かった! なんとか間に合った! もうサイン会始まってますか?」
警備員1:「ごめんね。ファンの入場口はあっちね。こっちは関係者だけですよ。」
ドドメ:「いや、違うんです。ぼくの顔良く見て下さい。ほら、この衣装!」
警備員2:「なかなか良くできてるね。(警備員、ドドメの袖をつまんで、感心したように警備員1に言う)こういうの、コスプレって言うんだろ? これだけ本物そっくりの衣装なら、メンバーも見たらきっと驚くだろうね。」

会場の中から大歓声。サイン会が始まったらしい。あせって早口になるドドメ。

ドドメ:「だから、ぼくもメンバーの一人なんですよ! 今朝、ちょっと電車が止まっちゃって、ぼくが着く前にバトルバスが発車しちゃったんですよ。だから直接こっちへ——!」

警備員1:「うそ言っちゃいかんよ、君。バトルシスターズはうそをつく子は嫌いだと思うな。」
ドドメ:「(必死に首をふる)うそじゃないです! 本当にメンバーなんですよ! 良く見て下さい! だいたいサイン会、まだ四人しか来てないでしょ!」

三人の警備員、顔を見合わせる。

警備員2:「えっ? だって、バトルシスターズって四人だろ?」
警備員1:「(うなずく)四人だろ。」
警備員3:「おれ、いつもテレビ見てるけど、四人だと思うぜ。」

愕然としてるドドメを見て、警備員2がふいに眉をひそめる。

警備員2:「あ、ちょっと待てよ。そう言えば、見たことあるかも。」

ドドメ、表情が明るくなる。警備員1と3は驚いた顔で警備員2を見ている。

警備員2:「なんか前から気になってたんだけど、なんかバトルシスターズがフォーメーション作ってる時、いつも脇のところに映ってる人がいるんだよね。あれ、前からなんでいるのかと思ってたんだけど、あれってもしかして君じゃない?」
ドドメ:「(興奮気味に)そうです! それですよ! 分かってくれましたか!」

警備員2、苦い表情を浮かべる。
警備員2:「君さあ、熱烈なファンなのは分かるけど、ちょっとは彼女たちの迷惑も考えなきゃ。」

ドドメ、持っていた鞄をぼとっと落とす。

警備員1:「(身を屈めて、子供に言うように)ぼく、おうちでテレビ見て応援しよう、な? 彼女たちもその方が喜ぶと思うよ。」
ドドメ:「(もはや力ない声で)いや、だからぼくもバトルシスターズの一員で——」

会場の中から大歓声。シャネルが観客に元気よく挨拶している楽しそうな声が聞こえる。警備員2、ほかの二人の警備員に悲しそうに言う。

警備員2:「毎年いるんだよねー、こういう人。」
警備員1:「(ドドメの頭をさすって)かわいそうにチケット手に入らなかったんだね。じゃあ、こうしよう。おじさん、本番前にバトルエルメスにサインしてもらったんだけど、特別にこれを君にあげよう。(そう言って、色紙をドドメに無理に渡す)ね? だから今日はおとなしく帰ってよ。」
ドドメ:「(うろたえた表情でエルメスの色紙を見ながら)あの……」
警備員2:「よかったねー、ぼく。」

警備員3が携帯電話を切って、ほかの二人に報告する。

警備員3:「今、一応バトルサマンサベガにも連絡取って、確認しましたが「そんなメンバー知らん」って言ってます。」
警備員1:「わざわざご苦労さん。(ドドメの方に)まあ、そういうことだから、今度からテレビの前で応援しようね。その方がきっとバトルシスターズも喜んでくれると思うな。じゃあ、今日はありがとう。気をつけて帰ってね。」

警備員たち、笑いながら裏口から中へ入っていく。
裏口がバタンという音で閉まって、一人取り残されるバトルドドメ。どこからか吹いてきた風に運ばれて、サイン会のチラシがドドメの足元を吹き抜けていく。
しばらく会場の中の熱気と興奮の音を虚ろな目で聞いていたあと、エルメスのサイン色紙を両手で持って、一人うつむいたまま、会場をとぼとぼあとにする。

投稿者 向山貴彦 : 2005年04月12日 00:14