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2005年03月08日
規制するならまずニュース番組から
どうやらまたゲームが悪者にされるらしい。
今日のニュースによると、大阪府が「残虐ゲーム」を規制する方針を検討していて、他の都道府県にもそういった動きがあるのだとか。いくつかの重大な事件を起こした少年少女たちが暴力的なゲームをやっていたから、というのがその主旨である。
すげえ、というのがぼくの正直な感想だ。
今時、ゲームをしたことのない小学生や中学生などほとんどいないのに、「加害者がゲームをやっていた」というのが規制の理由になるというのはすごいことだと思う。それだと、「加害者は空気を吸っていたので、加害者の行動は空気のせいだと思われる」と言っているのとさして変わらない。「残虐」というのがどこまでのことを指しているのかは分からないが、こういう曖昧な線引きで行われる規制がうまくいった試しというのは古今東西、人間の歴史を振り返ってみても、一度だってない。何を「残虐」と感じるかなど、恐ろしいほどの個人差があるはずだ。——動物愛護団体から見れば、普通の食事風景だって、この世のものとも思えないほど残虐な光景に見えかねない。(個人的にはスーパーマリオがぼこぼこピカチュウを踏みつけているところを見たときには「うわー、無惨やなあ」と思ったが、たぶん「スマッシュブラザーズ」は大阪府の規制対象には入らないのではないかと思う。)
今ではすっかり忘れられているが、こういう動きは昭和の後期にもたびたびあった。
当時は漫画が「悪書」だと言われていた。漫画を子供に読ませない親もいっぱいいた。学校で漫画を禁止しているところさえあった。今となっては信じられないことだが、ドラえもんでさえ、悪書とされたことがある。ぼく自身、小学校の時、クラスの先生が学級会の席で「うる星やつら」を名指しして「良くない本だ」と言っていたのをはっきり憶えている。
(先日、中学校の図書室に行く機会があって、本棚にたくさん漫画が並んでいるのを見て驚いた。どうやら漫画の罪はぼくが知らないうちに「無罪放免」になっていたらしい。)
テレビもポピュラーな敵役だった。
テレビを見過ぎるとバカになる。テレビを見過ぎると、人とコミュニケーションがとれなくなる。
テレビから有害な電磁波が出ていて、長く見ていると目が潰れる、骨が弱くなる、ガンになる、痔になる、頭に毛が生える……最近ちっともこういった批判を聞かなくなったが、この役目はインターネットに移ったのだろうか?
もちろん、アニメも、ビデオも、ロックミュージックも、バンド活動も、登場した時は全部、悪の温床として一度は取り上げられた経験を持っている。文化はすべてそうだ。本でも、音楽でも、宗教でも、全部最初まで遡ってみれば、世間に受け入れられる前に一度はたたかれたものばかりである。
老いていくことへのたまらない理不尽さからか、人はなぜか大人になると、自分の世代のためではない新しい文化に対して敵意を抱くようになる。規制をする側の人間は得てして、その文化に触れたこともない人間なので、理不尽な事態が起きて当然なのだ。
確かにゲームだっていい面ばかりではない。悪い面もある。でも、それはどんなメディアでも同じだ。悪いだけのメディアなんていうものはあり得ない。どんなメディアにも、「いい作品」と「悪い作品」があるだけなのだ——ちょうどどんな人間でもいいところと悪いところがあるように。
それを自分で見分け、自分で選べるようにすることが「教育」だったはずである。学校が本来の役目を果たしているなら、取捨選択は子供たち自身に任せてもいいはずなのだ。
「教育」がうまくいかなくなったら「規制」をする。
大人のやることはいつの時代でも変わらない。
ゾンビの頭をふっとばすだけの「残虐」ゲームよりも、そんな思想の元で子供たちが育つことの方が、ぼくは何十倍も恐ろしく感じる。
さて、もう少しピカチュウでも踏んでこようか。
投稿者 向山貴彦 : 2005年03月08日 20:01