2001/4/3 【あ、見つかっちゃった!】

あ、だめだめ! 
そんなとこに立ってたら! 
みんなに見つかっちゃうよ!
さ、中に入って。入って。
いや〜、もう見つからないようにそーっとそーっと更新しているんだから。だめだよ、大きな声立てちゃ。何しろここ一ヶ月ずーっと無断で休んでたからちょっとバツが悪くて。どうやって再開しようかって考えてるとこなんだ。
なんていうか、ほら、何事もなかったかのように更新するのも――

わあっ!

何!?今の音何!?
か、風か……。びっくりしちゃった。もう。こんなこっそり更新してるとこ誰かに見つかったりしたら恥ずかしいんだから……どきどきどき……

誰かこっち来てない?大丈夫?あー、よかった……
いや、もうあんまり長い間更新してなかったもんだからいろんなところで死亡説が浮上しちゃって。昔の友達から本気で心配しているメールがどんどん届いたりするもんだから、こりゃいよいよ更新しなきゃいけないとは思ってたんだけど、こうなると尚更更新しにくくて……

「体のお具合が悪いのではないかと思い、とても心配しています」なんて深刻な手紙をもらったあとに「うっほほ〜ん、更新をさぼってたんだよ〜ん」とか書いて再開できないものがありまして、はい。いや〜、ほんとにすみません。だから、しー、しー。声出しちゃだめ。向山は元気なんですよ、ほんと。
ちょっと忙しいのは忙しいのですが。みんなに心配かけちゃってほんとに悪いことしたなあ……反省しなきゃ。

あー、本当に気まずいや。てへへへ。ぺこ。


2001/4/4 【成人男性、ねずみの国へ行く/1】

 先月、版権にうるさい某ねずみの国へはじめて行ってきた。
 あらかじめ断っておくが、ぼくは責任も分別もある三十歳の成人男性である。頭に耳をつけたおなごが走り回って、しきりに着ぐるみと写真を撮っているような場所にはこれっぽっちも興味などない。 
 しかし、不本意にも妹に割引券をもらってしまい、その割引券が三月いっぱいで使えなくなる実にやむを得ない事情があったため、券を無駄にするような不道徳を見過ごすことの出来ないぼくとしては、大変に遺憾ながら、やむを得ず、もう本当に仕方がなく、どうしようもなかったので、ネズミの国に行って来た。
 確かにカメラも持っていったが、勘違いしてもらっては困る。むろんこれは記念写真を撮るためではなく、取材のためである。したがって、誓っても
海賊の格好に扮して鉈を首にあてて怖い顔を作りながら、写真を撮ってもらうようなことはしていない。また、けつのくびれたあひるを大声で騒ぎながら追いかけ回したのも、もちろん着ぐるみの仕組みを突き止めたい取材魂からの一心であって、間違っても一緒に肩を組んだ写真がほしかったわけではない。だから当然、パレードの全フロートを撮影したのも、造形を探るためであって、より近い位置で撮影する必要があったために、子供と幅50cmぐらいの隙間を争ったのであって、決してバズライトイアーに手を振ってほしかったからではないのだ。
 したがって、勘違いしてもらっては困る。
 両側面に犬のぬいぐるみがついている耳当てをつけて、ミニーマウスのサインの入った帽子をかぶっているぼくの姿は周囲を油断させるためのテクニックであったことは言うまでもない。また、シンデレラ城で「みなさんは勇気がありますか」という女性職員の問いかけに、その場にいる20人ぐらいの小学生を差し置いて真っ先に「あーるー」と大声で答えたのも、同じ娯楽産業に携わる者として、彼女のエンターテインメント精神に敬意を払ったために過ぎない。
 いかにあんな子供だましの施設がくだらないものであったかは明日以降に報告するとしても、その前にこの場をお借りしてきちんと断っておきたいことがどうしてもひとつある: 
 あの日、シンデレラ城の東側のベンチ脇で、ぼくがせっかく確保した撮影ポイントに横から入ってきて、「犬だ!犬!あれなんて名前だっけ?バー
ビーだっけ?ねえ、ママ!ママ!」と騒いでぼくの足にアイスの汁を垂らしていた子供――言っておくが、あの時バズが手を振っていたのはおまえにではなくおれだ。それと、バービーじゃねえ。そりゃ乳のでかい人形の名前だ。あれはグーフィーだ。


2001/4/5 【成人男性、ねずみの国へ行く/2】

そもそも勘違いしている人もいると思うが、ぼくがあんな極寒の横なぶりの雨の日に無理してネズミの国に出かけたのは、決して行きたくて仕方がなかったのではなく、ああいった日なら混雑を避けて、実りある取材が出来ると考えたからである。予想が外れ、震えるような気温の中で何時間も列に並ばされたときに怒っていたのも、順番が来るのが待ちきれなくていらだっていたのではなく、国内がかつてない経済危機に陥っている時にこんな低俗な娯楽に興じる日本国民の未来を憂いていたからにほかならない。
 実際、取材は実りのあるものだった。
 閉園直前に無理して乗ったウェスタン鉄道などは吹き付けてくる嵐のような暴風と、鼻水が凍るような気温に助けられて、本気で15世紀の西部で襲撃されているようなリアリティーがあった。後ろのカップルが用意された景観に見向きもせず、命からがら抱き合って必死に寒さに耐えていたのも、生命に対する危機感さえ感じさせるすばらしい演出だった。最後のトンネルに入って、気温がいくらか上昇した瞬間のみんなの安堵の歓声などは不時着に成功したジャンボ機の機内にも似た感動を与えてくれたものである。参加者全員が一刻も早くアトラクションが終了してくれることを祈りながら耐えている姿というのも実に珍しく、参考になった。


2001/4/6 【成人男性、ねずみの国へ行く/3】
 
 ほかにも取材の成果はあった。
 肝臓が悪そうな肌色をしたくまを園内でよく見かけたが、どうやらそいつは観光客相手にはちみつのおけに入ったポップコーンを売って荒稼ぎしているようだった。この原価7円ぐらいしかかかっていそうもない菓子になぜか人だかりが出来ている。ぼくが子供の頃によく衛生意識なんてくそくらえという出で立ちのおやじが近所に売りに来ていたポンポン菓子と、
一見まるで変わりないように思えるその食べ物を、いったいなぜ全員がこれほど並んで買うのか調べる必要があるとぼくは考えた。そこで人々の列に並んで30分、やっと買う順番が回ってきたので、より厳正な取材を行うためには多くのサンプルが必要であると判断し、ストラップとケースのついたものを四樽購入した。四樽も買っている人間はよほど珍しいらしく、注目を集めてしまって取材であることがばれるのを懸念し、うち一樽は素早くその場で平らげた。
 まあ、黄疸の出ているくまが作ったにしては上出来な味だったとだけ言っておこう。


2001/4/7【成人男性、ネズミの国に行く/4】

 言うまでもなく、取材というのは膨大なデータが必要である。したがって、いやいやながら多くのアトラクションを利用せざるを得なかった。このへんの努力にはわれながら感服する。何しろ公正な取材を期すため、ものによっては二度、三度とさえ乗ったほどである。園内の屋台のほとんどの食べ物も試食してみた。また、よりネズミの国らしいものを取材できるよう、プレーンのワッフルと、ねずみ顔のワッフルがあった時などは後者を頼む配慮も忘れなかった。(注文例:「ちがう! ミッキーの方! ドナルドじゃなくて! あとストロベリ−ソースたっぷりね。」)おみやげも当然もっとも売れている菓子類を中心に、「ねずみの手形焼き菓子」「くま饅頭」「あひる新世紀チョコ」「女ねずみ卵菓子挟み焼き」などを購入した。もちろんこれらは取材目的に購入したものなので、大変辛いことだが、大半は自分で食べねばならない。また、保存用の資料として切符、切符入れ、案内、当日予定表、地図、各種領収書、並びにおみやげの容器と飲み物のコップなどは風化を防ぐビニールに入れて保存してあるので、いつ何時でも取り出して思う存分取材することができる。
 我ながらこのような完璧な取材を果たしたことに感心するが、これだけで終わらないところがぼくの完璧主義のすごいところだ。一度の取材で満足せず、二度、三度と繰り返し取材をしてこそ、より正確なデータを得られるというものだろう。秋には「ねずみの海」もできるし、大阪には「国際撮影所」も開いたと言うし、当分は取材が忙しくなりうそうだ。
 いやー、まったくめんどくさい。


2001/4/10 【誰でも年は取る】

三十になって全面的に毎日食事を自炊するようになって、いつもの悪い癖でどんどん凝っていっています。最近じゃ半日以上かかる煮込み料理もなんのその。和食の煮物の大半も目分量OKです。朝からマクドナルドでソーセージエッグマックマフィンよりもただのエッグマックマフィンを食べることがヘルシーだと思っていた頃に比べるとなんという進歩でしょうか。

よく三十は人生の節目だと言われますが(ここからが下り坂)、確かに三十を境にいろいろと生活や趣向が変わりました。例えば:

三十まで読んでいた主な雑誌:ファミ通
三十以降に読み始めた主な雑誌:オレンジページ

三十まで好きだった主な料理:ビッグマックのセット
三十以降に好きになった主な料理:里芋の煮っ転がし

三十まで常連だった主な店:デニーズ喜平橋店
三十以降に通い始めた主な店:自然食材の店まごころ

三十までのストレス解消法:誰もいないところに行って叫ぶ
三十以降のストレス解消法:公園で散歩

老化してます、はい。

昭和四十五年以前にお生まれの皆様、ついにこちら側に来てしまいました。今後は立派な中年男性になりたいと思っているので、1秒で場が静まり返るシャレの言い方とかいろいろ教えて下さい。


2001/4/14 【21世紀は驚きの時代】

なんでもセブンが料理を始めたらしい。
ここは驚くところです、念のため。

セブンといえば、十代の頃はみそ汁がお湯にみそをといたものだと本気で思っていたようなやつである。スパゲティーのような料理だとペペロンチーノとカルボナーラを食べ比べても両方同じ料理だと思うような典型的日本人男性である。当然ぼくのようなめめしいところはないので、わざわざナイフの裏でたたいたローリエの葉っぱを煮込み終わって取り出したり、肉じゃがの野菜をいっこいっこ面取などするはずもない。最初に人づてにこの話を聞いたときに想像したものは、コンビニ弁当の残りを全部合わせて丼に入れ、上に牛乳をかけてグラタンとかいっているやつの姿である。
 ところが話をさらに聞いてみると、なんでも麻婆豆腐とかひじきの煮物とかを作っているらしい。この話を聞いてもまだ信じられず、麻婆豆腐といっても冷や奴をはしで潰して七味をかけて食ってるんじゃないかと思っていた。その時一緒にいたねこぞうなどは「そんなはずはない。セブンなんかきっとひじきがどこに売っているかもしらないはずだ。」と言い、宮さんも「絶対そうだよ」と力強く相槌を打つ始末。
 しかし、しかしだ。スタッフのよーじから、本当にそれを食べたという証言も出てしまったのだ。しかも食後二日経ったあともちゃんと生存している事実がある。器はやはり丼だったらしいが、それはまあよい。ちゃんと麻婆豆腐の味だったらしい。
 尚かつここの掲示板とやつの掲示板を読むと、なんか料理の本まで買ったとかで、これは大変な事態である。さすが新世紀。20世紀では考えられなかったことだ。
 いやはや、宮さんに「ここんとこ、こればっかり」と指摘されて反省した尻から、またこんなオチで申し訳ないが、やっぱり三十歳ってすごいことだ。


2001/5/19 【森さんだって気になる】

今日ふと思い立って懐かしい友人の名前でネットを検索してみると、中学校以来会ってないその友人がどこの大学で何を勉強したかが分かってしまった。つくづくすごい世の中だと思った。それでその時、ふと思ったのだが、こうやってネットを情報集めて回るロボット型の検索エンジンを逆に利用すれば、けっこう罠をはっておくことも可能だなと思ってしまった。

 例えば、ここに意味もなく「森内閣」と書いてその横に「好き」などという言葉を添えておくと、この組み合わせが同じページ上で見つかることが極めて稀なこともあり、もしも本人が検索したら一発でこのページに当たると思う。あるいは今こうしている間にも日本のどこかでは同時に森さんもこれを読んでいるかもしれない。そして使い方は良く分からなかったけど、とりあえずIT講習会の記念品でもらったパソコンにしがみつき、ドキドキしながらここを読んでいるはずである。

すみません、森さん。
もう一度「嫌いじゃない」あたりで挑戦してみて下さい。
まあ、その場合もここのページがヒットしてしまいますが。

(今、森さんはブラウザのバックボタンを連打してフレッシュアイの検索画面まで戻り、必死に「小泉」「田中」「嫌い」でand検索をしているところである。)

そんなことを打っているうちにさらに思い付いたのだが、例えば好きな相手がいるのに、告白できないそんなあなたなら、こんなのはどうだろうか:どこからもリンクのはってないページに好きな人の名前を十回書いて、その下にその人宛のラブレターを書いて、適当にネット上に放置しておく。そのうちどこかの検索エンジンが拾ってくれるはずなので、あとはいつの日か、本人がその検索エンジンで自分の名前を検索する日を待つ。もし彼氏/彼女が大変な有名人でなければ、おそらくトップにヒットするはず。ほんの少しの可能性に赤い糸をかけてみる。そんな他力本願のネット告白はどうでしょう?
 ただし、相手の名前が「広末」「宇多田」とかだった場合、ヒットしても76298件目あたりになると思うので、まあ、相手が存命中に訪れることはないと思いますが。

(今、「森さん」「好き」「赤い糸」で検索していた森さんが、またこのページにたどり着いてパソコンを壁にたたきつけて壊したところである。)


2001/6/6 【「童話」関連のニュースを】

「童話物語」関連の新しいニュースを二つほど。
 すでにスタジオのトップには発表してあるのですが、来る6月11日から二週間、銀座のギャラリーで童話物語のリトグラフを集めた宮山香里のリトグラフ展、「Klaushiere: A View」が開催されます。このタイトルは直訳すれば「クローシャ:ある視点」 となり、文字通り、物語の中で描かれているクローシャの風景とは多少異なった視点から描き直された「もうひとつのクローシャ」、そして「もうひとつの童話物語」の絵です。宮さんが「童話」の作業を終えてからの二年間、彼女にとって
新たな画材であるリトグラフに初挑戦して賢明に作り続けてきた記録でもあります。挿し絵のパステル画よりも、一枚の「絵」としての構図やおもしろさを追究した二十枚のリトグラフはどれも独特なクローシャの「視点」です。
 一カ所のみで期間限定の個展なので、東京周辺の方しか難しいと思いますが、もしよろしければぜひお誘い合わせの上、お越し下さい。当日はリトグラフの販売も行われるはずです。このリトグラフの作品集は今のところ出版その他の予定はありませんので、手に入れたい方は最初で最後のチャンスになるかと思います。どうぞお見逃しなく!
 東京まで残念ながらくることができないという方には、宮山が新しく特設したウェブ版のギャラリーが同時開催中です。こちらからどうぞ!

 もうひとつのお知らせは「童話」の文庫版の発売日が決まりました。7月5日です。上下巻同時発売予定で、確か一冊900円ぐらいだったかな? 間違えてたらごめんなさい。文庫としてはけっこう高いと思うのですが、カラーの挿し絵や世界地図などを収録している都合上、どうしてもこの価格設定になってしまうことをご容赦下さい。上巻には一章分ぐらいの長さの「資料集」が新しくついています。これですべてというわけではないのですが、「童話」を書く際に使っていた資料の大半は収録しています。一部、クローシャ語の辞典などはわざと収録からはずしましたが、それは謎のまま残る部分もあっていいかなと考えたためです。
 この資料集、中盤の「歴史」の項目はちょっとした物語仕立てになっていますので、読んでもけっこう楽しいのではないかと思います。ほかにもクローシャの食べ物や文化、気候、宗教など様々な項目について詳細な説明が載っています。「童話」を読むのに必ずしも必要なものではないのですが、あとで読んでみると、いろいろ本編で少しだけ触れられている部分の背景が分かっておもしろいかと思います。よければご覧になって下さい。全国の書店で来月の五日に発売です。その月は幻冬舎文庫から一冊しか出ないはずなので分かりやすいかと思います。
 それでは近々また更新にあがります。
 早くも夏バテの向山でした。



2001/6/8 【今日は金曜日だし】

 一人勝ちだ。
 何が、といえば、それはもうマクドナルドに尽きる。
 とにかく常軌を逸した安さで、平日の昼間はどこの店舗も人で埋まっている。この大不況の時代、あの値段で昼食が食べられるのは確かにぼくら一般庶民にとっては夢のような話――何しろハンバーガーが80円なのである。80円!ちょっと落ち着いてこの値段を考えてみてほしい。今現在80円で買えるものに何があるだろうか。
 ポテトチップスやアイスクリームはおろか、ジュース一本買うことができない!携帯電話なら辛うじて挨拶するぐらいの時間である。長距離ならそれさえできないかも。ぼくが今ぱっと思い付く80円の食べ物でマック以外のものといえばもろこし輪太郎ぐらいである。どおりで一人勝ちするはずだ。
 そもそもなんでもかんでも値上がりしていくのが世の常だというのに、三十年前の創業の時の価格を下回ってどうする、マクドナルド!
 まあ、しかし、値段が下がること自体はいいことだし、それで利益もどんどん上がっているというのだから、素晴らしい企業努力だと言うのも確かかも知れない。問題はその他のハンバーガーショップを見たときについつい心が痛んでしまうことだ。
 特に大打撃を食らっていると思われる、マックが葬り去った季節商品を必死にぱくって出すヨークシャーテリアと名前がちょっと近いお店や、「早い台所」という間違えた形容詞と名詞の組み合わせを名前に持つお店などが、必死に対抗して値段を下げようとがんばっているのを見るにつけ、涙を禁じ得ない。できることなら政府もそろそろなんらかの形でトキと同様に保護を検討してほしいぐらいである。それまではとりあえずぼくらだけでも奮闘する「その他」のチェーン店を少しでも利用してあげようではないか! 不況だからこそそれくらいの心の余裕があってもいいのではないだろうか!今こそぼくらの価値基準が試されている時なのではないのか!?
 あ、そろそろマックが閉まるんで、今日はこのへんで。