第六回:「ゲームとおれ(ねこ版)」 ~現在の進行状況編~

十二月が始まって一週間が経ちます。
ということは、もう一カ月の四分の一近くが過ぎてしまったわけで、一年が終わるまであと四分の三ヶ月しかありません。そんな「余命三ヶ月の花嫁」並みの切迫した気分でいながらも、「ゲームとおれ」です。とりあえず現在の進行状況は……

UFOが止まっています。

と、いうとあからさまに説明不足なので、もうちょっと付け加えるとPSゲームの高難度名作「UFO 〜A day in the Life〜」が行き詰まっています。このゲーム、伝説の「MOON」と同じラブデリックが制作しているものなので、どうしても自力で解きたいのですが、数年前に挫折してしまってそれっきり置いてありました。しかし、「ゲームとおれ」連載を始めたことにより、何となく「今ならできるんじゃないか?」みたいな気になって迂闊に電源を入れたのが運のツキでした。

できそう……いや、うん……できる……でも……

ごめん、舐めてた。

思えば同じルートを辿って「エンドネシア」も止まっていたのでした。「盲導犬」という単語から離れすぎたこれらのゲーム、とても面白いし、謎が解けた時の達成感はすごいです。でも最後まで行き着ける気がしません。とりあえず、あの、序盤で廊下を0.5秒くらい走っていくやつは、写真に撮れるのでしょうか? ばっちシーンが四つもあるマダムは、いつになったら救出できるのでしょうか? 明らかにモデルがY○SHIKIなあのキャラは、一体何をしてるのでしょう?

とりあえず今、102号室に黒服が老人を運び込んできたところです。
さてこれからどうしよう……。

迷惑メール選手権

誰しも携帯やパソコンで、迷惑メールを受け取ったことがあると思う。
知らないアドレスからのエロ情報や、投資の情報。これらは大抵の人の目には留まらない。あっさり無視され、削除される運命である。

しかし、時としてそんな迷惑メールにも作者の「工夫」を感じることがある。迷惑な、つまらないものであっても、どこかの誰かにとってはこれは「作品」——そう思うと、普段無視されている迷惑メールにもほんの少し脚光を浴びせたい気分になった。

そんなわけで本日、自分の迷惑メールフォルダの中で面白いと思ったものに賞を与えることにした。今回の投稿作は2048通。その中から外国語のものを除いて慎重に検討した結果が以下である。

(※アドレス、文面に関しては、様々な問題からこちらで若干編集を加えさせて頂きました。ご了承の程お願い申し上げます。)

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優秀賞
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差出人:えみ
件名:おぼえてる?

本文:
あの時会った まりこ です。
何だか気になっちゃってメールしました。
よかったらお返事ください。

きよみ より。
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準優秀賞
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差出人:松坂ひとみ
件名:予防接種のお願い

本文:
新型インフルエンザの流行に際し、
ワクチン接種のお願いです。
ぶっとい注射器のお持ちの方、
どうぞ私の○○○にソレをナニして(一部伏せ字)頂けませんでしょうか。

該当する方は下記のアドレスまでご連絡下さい。

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特別賞
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差出人:今、満たされてる?
件名:エッチな女の子がいっぱいいるよ!

本文:
HHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH

♀♀♀♀♀♀♀♀♀♂♀♀♀♀♀♀♀♀♀

HHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH
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選外佳作
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差出人:son_59
件名:オラの元気玉

本文:
オッスオラ59! 
人妻とやってみてえんだ! 誰かいねえかな?
お前らの元気を分けてくれよ!

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以上四作に関しては、「削除フォルダ」から「迷惑メール特選フォルダ」への移行をもって、賞状の授与に変えさせて頂く。そしてこれら迷惑メールの作者に、心からのおめでとうと、そしてその労力をもっと有効なことに使うよう、老婆心ながら忠告を捧げたい。

朝ドーナツ

doughnut

まんなかの穴はココアで埋める。

名作すぎて

大好きな作品なのに持っていない、ということがままある。
本にせよ、マンガにせよ、アニメや映画のDVDにせよ、持っているものだと信じ込んで自宅を探し回り、むなしく諦めたことの何と多いことだろうか。その理由は二つで、「いつでも手に入る」と思って買い逃しているか、買った覚えはあるがあまりに名作すぎたためにいろいろな人に貸している内に、どこへともやら流れて消えてしまったかどちらかだ。個人的には後者の方が圧倒的に多く、今までにも様々な作品がそうやって漂流していった。

それでも大抵のものは買い直したり、諦めたりもできる。借りている側も、ちょっとした漫画一冊やゲーム一本なら忘れてしまうこともあるだろう。でも、「ドカベン」の文庫版が、大甲子園も含めて全巻紛失しているのはどういうことだろうか。軽く註釈を加えると、ドカベンは文庫版が全三十一巻、大甲子園は全十七巻である。買い直せる金額ではない。ので、借りているひとは、すみやかにかえしてください。おねがいしますぅうううう。

ちなみにこのほかに、PS2ゲーム「ちゅうりっぷ」もなくなっていました。悩んだ結果買い直しました。名作すぎるから、仕方ない。

過去の空

ゲーム話が続いたので、たまには写真でも。

過去の空

過去の空には 一面の青
遮るものは何もなく 道はどこまでも続いていく

第五回:「ゲームとおれ(ねこ版)」 ~Snood編~

※次回辺りから家庭用ゲーム機の登場と書いておきながら、性懲りもなくPCゲームの話です。「話が違うじゃないか」と思われるかもしれませんが、ここはそういう当てにならないサイトです。ご了承頂ければ幸いです。

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フリーゲームは恐ろしい、ということを体感させてくれたのが「Snood」である。読み方は多分「スヌード」で合っているのだろうが、英単語としての意味を調べてみたところ「スコットランドのはち巻きリボン」だった。そんなファンキーな代物とは関係なく、Snoodはパズルゲームだ。

パズルといっても、難しいルールはない。画面上部に○○○が並んでいるので、下に出てくる○○○を打って消していくだけだ。○○○の方向はマウスで操作する。同じ○○○が三つ以上接触すれば消えるので、画面にいる○○○が全部なくなればクリアとなる。――画面に現れる顔の付いた物体の正式名称が分からなかったので一応伏せ字にしてみたが、決して放送禁止用語などではない。もしかしたら○○○のことを「スヌード」というのかもしれない。そんな設定があるのかどうか分からないが、仮にそれらを「スヌード」と呼びつつ話を進めてみることにする。

スヌードは何種類もいる。丸、三角、四角とそれぞれに形は違うが、どれも非常にイラつく顔をしていて、見ていると地上でいちばん憎たらしいガキが食べていたアイスクリームに指を突っ込んできたような気分を覚える。この「イラッと感」がポイントだ。立ち上げた時の「ウィーッ(語尾が上がる)」という声。失敗した際の、その時だけやけに神妙な音楽。ゲームの随所にイラ立つ要素が散りばめられてこちらを煽ってくる。極めて不愉快だが、しかしその不愉快さが同時にこのゲームの恐ろしさにも繋がっている。

起動時には「ウィーッ」に挑戦されているようでムキになってしまうし、失敗したらムカつくので再挑戦してしまう。うまくクリアできたら気分がいいのでやっぱり再挑戦し、その内にスコアが気になり始め上位ランクに入ろうとしてまた挑戦、とやっている内に、いつしか「Snood」のエンドレスループに嵌っている。

そんな「Snood」に出会ったきっかけは、やっぱり十年前のことだ。ネットから無料でゲームがダウンロードできることを知り、「タダで配っているとはいい人がいるものだ」と思いながらほくほくとデモ版のプレイを始めた。だが、その「いい人」は、どちらかというと甘い言葉を投げかけてくるシャブの売人に近い存在で、世界中に大量の中毒患者を生み出していた。私個人は幸運にも、仕事や何やかやの関係で依存症から抜け出したものの、あのままプレイし続けていたらかなり危なかったと思う。しかし他の人達はどうなってしまったのだろう。気になって見てみたら、こんなことになっていた。

Snood

……なんかいろんなバージョンがある。しかも十年の間のどこかで図に乗ったのか、マグカップやTシャツといったグッズまで制作・販売していた。ああ、この懐かしくも憎たらしい顔! しかしよく見ると、画面のスヌードの中に見たことのないやつがいる。私がプレイしていたバージョンは、多分最もスタンダードな「SNOOD FOR MAC」のはずだが、そこに登場するスヌード達――「田代」「メガネ先生」「げじげじ」等と個人的に呼んでいた――の中には、こんな丸っこいのはいなかった。デザインも今風でちょっとカワイイし、よく見るとほほう、iPhone版か……。

というわけで即ダウンロードしてみた。350円というリーズナブルなお値段でまた中毒患者を増やそうとは、フリーゲーム(この場合フリーではないが)はこれだから恐ろしい。

※上記のリンクから、「Snood」デモ版を無料でダウンロードすることができます。十分危険性をご承知の上でご利用下さいませ。

第四回:「ゲームとおれ(ねこ版)」 ~Bad Day補足〜

昨日「Bad Day」について書いたところ、「タイトルが違うのではないか」とのご指摘を頂いた。どうやら正式タイトルは「Bad Day on the Midway」で、当時は世界的にかなり評価されたものだったらしい。

そういうわけで、動画サイトを当たってみたところ、十年ぶりに「Bad Day(on the Midway)」の世界を目にすることができた。懐かしの「tortures top 10」、「Kill A Commie Shooting」……思わず画面が滲んだのは、決してグラフィック性能のためではない。

インターネットと、そして人間の記憶力に、ありがとう。

第四回:「ゲームとおれ(ねこ版)」 ~Bad Day編~

記憶を辿ると自分の中でPCゲームの歴史は点々と、だが確実に続いている。

その最初の一歩が「インカーネイティア」に当たるのだが、次にプレイしたのは確か「Bad Day」という作品だった。記憶があやふやなのは、この作品がつまらなかったからではない。誰かに貸したのか、はるか昔にソフトそのものを紛失しており、一度プレイしたきり触れる機会がなかったからだ。そして今回このコーナーを書くに至り、内容を思い出そうとネットで検索してみたが、かすりもしなかった(今試してみようとした方へ:「BAD DAY L.A」というのは全く別のゲームです。また、つまらない日の応援歌でもなければ、歌うシマリスとも関係ありません)。

仕方なく覚えている範囲で書いてみるが、何分十年以上昔のことなので自信がない。もしこのゲームをお持ちの方がいらっしゃったら、遠慮なく記憶違いを突っ込んでほしい。(というかその前に、それ貸して下さい。お願いします。)まずストーリーはシンプルで、カーニバルを見に行った少年のバッドな一日を描いている。何がバッドかというと、少年はこの日死ぬ。開始一分で死ぬこともあれば、一時間保つこともあるが、とにかく死ぬ。それじゃゲームにならない、と言う意見もあるだろう。その通り、少年(=プレイヤー)の生死はこのゲームの中ではあまり意味がない。むしろゲームの目的は違うところ、カーニバルを「見る」ことにある。

といっても、少年に可能な行動は「前(或いは左、右)に進む」ことと、「話しかける」ことだけだ。アトラクションはたくさんあるが中に入ることはできず、しかもカーニバルにいるキャラクターたちはそれぞれにちょっと放送できない種類の問題を抱えていたり、どう考えても正気じゃなかったりするため、会話をしても情報にはそこまで意味がない。しかし、誰かと会話をしてからどこかで誰かを待つとか、そういった小さなフラグを立てていくことで延命が可能になり、やがてアトラクションの中に入ることができる。そこからが本番だ。

実はこれらのアトラクションの中には、ひとつひとつ凝りに凝ったミニシアターのような映像作品が隠されている。キャラクターとの会話や、ゲーム的な部分はその映像に内包された物語を理解しやすくさせるための付属物で、この数分間の映像を楽しむために「Bad Day」全体があると言っても過言ではない。切り落とされた耳、標本の蝶、太った女、やせた女……誰しも惹き付けられること請け合いなダークかつグロテスク、時にはコミカルで悪趣味な美の世界。それを堪能したあとは、お約束だがやっぱり死ぬ。なので、別のアトラクションを見るためにまた最初からゲームを始める必要がある。往年のゲームなどでよく「死ぬのがデフォ」と言われているものがあるが、この場合文字通り死ぬことはデフォルト、ゲームの進行の一部なのだ。そういったシステムは新しいと言えば新しかったが、特に誰も追随する者はなかったと見えて、今日に至るまで同じ手法で展開されるゲームを見たことがない。

アート作品として、また前衛的なゲームとして、自分の中でこの上なく評価が高い「Bad Day」。できればあの映像をもう一度見たいものだが、それは儚い夢だろうか。いつの日か、心ある誰かが思い出したように動画サイトにupしてくれることを願ってやまない。しかしこれほど優れたゲームが何故Mac Expoの片隅で、500円という価格で投げ売りされていたのか。それは永遠の謎である。

さて、マイナーなゲームが続いていい加減うんざりされているかもしれない。しかし次回辺りから、ようやく家庭用ゲーム機の登場である。だがもちろんPCゲームについても、現在進行形で着々と歴史は続いているので、マイナー好きな方にもまだまだお楽しみ頂けるかと思う。陰と陽、メジャーとマイナー、星五つと星一つが混在するねこ的「ゲームとおれ」、幸いなことにまだもうちょっと続きます。

※こんなもの読んでたらゲームしたくなっちゃったじゃないか、という方のために、最近見付けたフリーゲームにリンクを貼っておきます。操作はごく簡単、クリックできる場所を探して押すだけです。音が出ますので、そこだけ注意してお楽しみ下さい。
Samorost 1

第三回:「ゲームとおれ(ねこ版)」 ~インカーネイティア編~

※このシリーズめんどくなったのでこっそりやめようかなーと思った矢先、代表から「もうちょっとやってよ」と要請が来たため、まだ少しだけ続きます。

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インカーネイティア。知っている人はどれぐらいいるだろう。パッケージによるとこのゲーム、ジャンルは「アドベンチャー」で、アオリ文句は「ダリ、受肉」である。全く意味が分からないが、その時はとりあえず「そうですか」と受け入れた。現在なら「ちょw冒険wwすでにハジマッテルww」くらいの失笑を洩らしてスムーズに棚に戻していただろうから、これは初心者ならではの柔軟性と言えよう。だがもし当時同じ反応をしていたとしても、他に選択肢はなかった。その店にMac用ゲームの在庫はごく僅かで、あるものといえばうっかり入荷して売れ残ったどこかの釣り天国くらいだったので、こんな香ばし過ぎる選択をするはめになったのも致し方のないことだったと思う。

ちなみにここで登場する「ダリ」は、言わずと知れたサルバドール・ダリを指す。二十世紀スペインの画家で、シュールリアリズムの代表と称されていて、作品には「茹でた隠元豆のある柔らかい構造」や「記憶の固執(柔らかい時計)」などがある、と聞くといかにもゲームらしい……わけ、ない。そのダリが「受肉」するアドベンチャーとなると、脊髄反射的にグロ系のアダルトゲームを連想しそうになるが、残念ながら実物はそんな背徳的なものではなかった。単に画面内にダリの絵画作品が再現され、その中で謎解きやミニゲームをクリアしていくというだけで、グラフィックはなかなか素晴らしかったものの「ダリ」の要素がなくてもゲームとして成立している。というか、「ダリ」を入れたために多くのユーザーを逃した感さえある。

そんないろんな意味でアドベンチャーな「インカーネイティア」だが、結論から言えば、意外なほど面白かった。新しいダンジョンが現れる度に胸をときめかせ、謎のひとつひとつに首をひねり、とうとうクリアした時にはスタジオ代表を電話で叩き起こして感動を伝えたほどだ。(この時の彼の第一声は「今何時?」で、時刻は朝の四時半だったが、よい報告はできるだけ速い方がいいものである。)今となっては、それらの謎やミニゲームの大半は忘却の彼方だが、ひとつだけ忘れようとしても忘れられないものがある。それはゲームの途中に登場するスロットマシンだ。三台並んだマシンの絵柄を合わせるだけのごく単純なものだが、このスロットマシン、スピードが異常に速い。「絵柄」というよりほとんど一本の「線」と化したスロットを目押しするのは至難の業で、最初の一台をクリアするのに一週間かかった。ちなみにほぼ不眠不休である。「誰だって、自分が思っているよりすごい人間だよ」——そんな某童話物語のセリフが頭に過ぎったが、しかしこの奇跡体験にはちょっとした裏があった。CPUの処理速度だ。

当時プレイしていたパソコンは最新のもので、「インカーネイティア」の発売はそれよりも少し前だった。要するに高速スロットの正体はオーバースペックによる軽い暴走で、後ほどスタジオにて本来の設定とおぼしきスロットのスピードを確認してみると、プレイ時のおよそ三分の一程度だった。その事実が判明した時には愕然としたが(主に自分以外の誰も同じ苦労をすることはないという点で)、それでもこのゲームは二つのことを教えてくれた。一つは、不可能は時として可能になるということ。そしてもう一つは、あらゆる物事の裏には何らかの仕掛けがあるということ。仕掛けを作り出すのも努力なら、仕掛けを解くのもまた努力というわけで、初めてのゲームはいろんな意味で「冒険」であり、同時に貴重な人生の「勉強」となった。

自分で購入したゲーム。自力でクリアした謎。プレイしたからこそ見える結末。
そんな初めての思い出が、「インカーネイティア」にはたくさん詰まっている。だから私はこの作品を「名作」だったと評したい。

たとえ、世間の評価が「星一つ」であろうとも。

第二回:「ゲームとおれ(ねこ版)」 ~なれそめ編2~

パソコンのゲームと言えば、今ならネットゲームが主流だろうか。
それとも、相変わらずアダルトゲームが人気なのだろうか。

私が最初にプレイしたゲームは、そのどちらでもなかった。購入した場所は秋葉原のPCショップで、店内にはソフトの箱がジャンル別にいっぱい並んでいた。そんな雰囲気が物珍しくて、辺りをきょろきょろ見回していると、「ゲーム」というコーナーが目に留まった。そうだ、パソコンを買ったんだから、ゲームだってできる。そんな単純なことに、この時初めて気が付いた。

パソコンでゲームをプレイする。最初にその発想がなかったのは、それまでゲームというものに全く触れてこなかったためだろう。ゲームをしない人は、ゲーム機が「ハード」と「ソフト」に分かれていることを知らない。(クリスマスに念願のファミコン、今ならWiiを買ってもらったけど、ソフトがなくて泣いた子供が世界中に何人いたことだろう)また、ゲーム機のハードに「種類がある」ことも、案外知らない。ドラクエをやろうと思い立って、安くなってるゲーム機を買ったらXboxだった、ということもざらにある。というか、当時の自分ならやりそうだ(実際にやってはいません、念の為)。

そこまで知識がないにも関わらず、ゲームに対しては漠然と憧れのような気持ちがあった。小学生の頃、友達の家で少しだけ触らせてもらったスーパーマリオ。ドラクエの画面を見ると、主人公が友達と同じ名前でびっくりしたこと。あの世界には何があるのか今なら知ることができる。そう思って、派手なパッケージに手を伸ばそうとした時、棚の上にあるコーナー名が目に入った。

「”Windows用”ゲーム」

そうか、違いがあるのか。
自分が買ったパソコンはWindowsではない。ということは、と視線を移動すると、フロアの片隅に「Mac用」と書かれたごくごく小さい棚が見付かった。他の場所と同じようにソフトがぎっしり詰まっているが、ジャンル分けの必要もないほどささやかな量だ。比率としてはWin:Macでおよそ9:1くらいだろうか。あまりの地位の低さに失望を覚えながらも棚を眺めると、いろいろなソフトが並んでおり、一応ゲームらしきものも数本あった。その内の一本が、私の人生で初めてのゲーム「インカーネイティア」だった。