サンタのいる世界

「サンタはいるのか?」
そんな一見ばかばかしい質問だけど、ぼくはいると思っている。

海外には「サンタクロース」という団体がいくつも存在するという。ボランティアの団体で、毎年南極宛に送られる何万というサンタ宛の手紙を郵便局から引き取って、それをひとつひとつ読んでいくシニア市民の集まりだ。彼らの予算は「恵まれない人たちのためのサンタ募金」で切り盛りされている。
サンタへ手紙を書くのは何も家庭に恵まれた子供だけではない。今日のご飯に困っている子供たちも、切手のない手紙でサンタに助けを求める。アメリカの郵便局で、切手が貼ってなくても唯一届く手紙がサンタ宛のものだ。

「サンタクロース」はそのたくさんの手紙の中から、クリスマスに本当に奇跡を必要としている人たちを選び出し、彼らが一番必要としているものを24日の夜、サンタの格好で届けに行く。中にはクリスマスの夜に一家心中をしようとしていた正にその瞬間、サンタが玄関に現れた家族もあったそうだ。
サンタクロースがいないだなんて、彼らは絶対に言わないだろう。何しろ、彼らのところには本当に奇跡がやってきたのだ。

残念ながら個人情報保護がうるさい現代では、手紙の引き取りが不可能になり、「サンタ」の存在は危機に瀕している。人の善意が消えると、サンタも一緒に消えてしまうのかもしれない。――そう思うと、悲しくなる。

子供の頃、うちに毎年来ていたサンタは今、どこの家を回っているのだろうか。
願わくば、多くの幸せを今も運んでくれていますように。

Category: エッセイ, 挨拶 コメントは受け付けていません。

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