Archive for 3月 2000


匂い屋

3月 28th, 2000 — 1:37am

近頃世間では「癒し系」がブームなようですが、わがスタジオでも「癒し系」が必要を迫られて流行中です。ぼくが愛用しているのは「インセンスコーン」と呼ばれるお香の一種で、こんな感じの物です。

三角形のお香に火をつけると煙が部屋に立ちこめて、桜や桃や檜の香りが漂います。なんとなく気分が安らぐ気がして、モニタを見つめっぱなしの昨今、ほとんど四六時中欠かせません。
そこで、前からやってみたいと思っているお店が「匂い屋」。

「匂い屋」ではこういったお香、香水、フラグランス、ポプリから脱臭剤まで匂いに関するグッズを集めて香り別に展示したいと思っています。中には「肥溜め」とか「キャンプ場のトイレ」といった、嫌いな人にあげる専門のコーナーもぜひ用意したいと考えていますので、オープンの際にはぜひお立ち寄りを。

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悲しい緊張感

3月 26th, 2000 — 1:36am

本日原稿の受け渡しのために新宿まで出てとんぼ返りでスタジオに戻るため、中央線の特別快速に乗った時――なにやら周囲の乗客の間に言い知れぬ緊張感がある気がしてならなかった。比較的車内は込んでいるというのに、ほとんど話し声はなく、なんとなく空気が張りつめている。はじめはぼくの気のせいかと思っていたが、近くの女子高生三人組の会話ですぐにその得体の知れない空気の意味が分かった。「やっぱりよそうよ、一番前は。」「だって、夕方の特快だよ、絶対やばいって。」そうなのである。この時間、中央線の特別快速で立川行きのものはとてもやばいのだ。このところ数日に一度、誰かが踏切から自殺しているのである。女子高生達がとなりの車両へ移っていく中、ほかの乗客達は無言で咳払いをしたり、落ち着かない様子でキョロキョロしていた。となりに座っているOL風の女性はさっきから意味もなく携帯の電源を入れたり消したりしている。十分ぐらい駅に止まることなく疾走し続ける中野、三鷹間になると、さすがにぼくも緊張して、ブレーキがかかるごとに心臓が鼓動をとばしていた。この状況が異常事態だと思うのはぼくだけだろうか。

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朝の出来事

3月 25th, 2000 — 1:35am

ここのところ日に日にショッキングな風景を見ることが多い。始めは「日本も変わったなあ」ぐらいに思っていたのだが、最近ではかなり痛烈な危機感を感じ始めている。
昨日、朝食の材料がなかったので、朝からスーパーに買い出しに行くと、スーパーの開店時間の五分ほど前に着いてしまった。今日は特売日か何かのようで、スーパーの前にはすでに人だかりができていた。仕方なくそのひとごみから少し離れたところに立ってぼんやり待っていると、開店一分ぐらい前になって、道の向こう側から母親とその五歳ぐらいの娘の二人がこっちに向かって走ってきた。母親は明らかにスーパーに向かって走っているようで、ほぼ全力疾走。後ろから子供が必死についてきているという状況だ。「危ないなあ」と思っていると、母親はそのまま一心不乱に車が行き交う道路へ飛び出し、一気にスーパーの玄関へと走っていく。出遅れた子供は車に阻まれて、あわてて道の向こう側で立ち止まり、気付かずに走り去っていく母親を必死に呼んでいたが、母親はまるで介さず、すでにスーパーの中に消えていた。子供が今にも飛び出しそうでヒヤヒヤしていたが、泣き出すものとばかり思っていたその子供は、しばらくすると、ちゃんと横断歩道のあるところまで行って青信号で渡っていた。子供はやがてぼくの前を通り過ぎて、スーパーに入っていった。この間、けっきょく、母親が戻ってくることはなかった。

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絵に描いたようなオチ

3月 24th, 2000 — 1:32am

確かにマックは昔から良く止まった。専門的にはフリーズというのだが、パソコンじゃなく、冷蔵庫かと思うぐらいによく凍る。雑誌や専門家がその原因を機能拡張の入れ過ぎやメモリ不足などに起因するものとして説明しているが、絶対にそんなことではないと思う。現在スタジオのメインマシンであるG3には必要最小限のアプリケーションしかインストールせず、メモリも限界まで積んであるが、インターネットエクスプローラーを開いただけで止まったりする。一日に数回は確実に凍る。ビールを冷やすなら、冷蔵庫に入れるよりマックに突っ込んだ方が早く冷えるのではないかというほどの凍りっぷリだ。特にここ最近ひどすぎるので、苦肉の策として二つのマックで作業している。違う作業を並行して行い、片方のマックが止まったら即再起動、反対のマックに移る。こうでもしないと、再起動する間の数分間に発狂しそうになるのである。

上の文章がなぜここで途切れているかというと、その時点でセーブをしたからである。十分ほど前にこの文章を一旦打ち終わったとたんに、まるで内容を分かっているようにお約束のフリーズをマックがかましてくれた。実は最初に書いたのもこれと同じオチで、その時はギャグのつもりだったのだが、まるっきり本当になってしまって、本気で今笑えない。

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800/向山式人生のルールブック

3月 23rd, 2000 — 3:59pm

以前読んだロバートフルジャムのエッセイに、30歳になったら誰もが自分のためだけの人生のルールブックを作るべきだと書かれていた。そんなわけで、もはや二十台も過ぎ去っていく後ろ姿になりつつある今、よい時期だと思って一覧を作ってみた。リストの中には実際にはあまり守れていないものも多く含まれている。一度も守れたことのないものも、守るのが不可能なものも入っている。自分で思い付いたものも、人に借りたものもある。また、これは今現在の時点でのものなので、将来は項目が増えることも減ることもあるだろう。賛成するものも反対するものもあるだろう。でも、それでいいのである。これはぼくのためだけのものだから。

・うそをつくのはいけないが、話は大げさな方がおもしろい。
・本人の目の前であれば、いくら悪口を言ってもいい。
・ほめる点が見つかったら必ずほめろ。
・三日先行すれば、他人には一年先行して見える。
・実は世の中はけっこう公平だ。
・隣の芝生は決して青くない。
・究極の善意は人を笑わせることである。
・お金や物を奪っても、希望や夢は決して奪うな。
・ばかだなあと思う人には注目しろ。きっと学ぶことがある。
・高い壁を飛び越す時には助走分を後退しないといけない。(これと本当の後退を見誤るな)
・どの考えを選んでも、それを十年守れば正解になる。
・海は沖に出ると陸の方向が分からなくなる。
・山は登っているときには形が分からない。
・「もうだめだ」と思ったときには頂上は越えている。
・人間の持てる唯一の所有物は時間である。
・最大にもったいないのは時間の無駄遣いである。
・毎日何かひとつ健康のためだけにすることを持とう。
・ペットはどんなものでも飼ってはいけない。
・時として一番の愛情は手を放してやることだ。
・愚痴を言うぐらいなら死を選べ。
・強がらないよりは強がった方がいい。
・涙を流すのは悪いことではない。泣き続けるのは悪いことである。
・幸せは比較しない。
・自分の選んだものがいつも最良である。
・「もしも」を考えるなら「今度は」を考えろ。
・命を一番大切にするな。
・一緒に棺桶に入れてほしいと思うほど愛着のあるものを持て。
・愛している人には愛していると言え。今すぐ。
・食べ物のためだけに旅をするな。
・すべての母親を尊敬しろ。
・女性の一番弱い人と男性の一番強い人が同じぐらいの強さである。
・他人の人生のルールは自分にはあてはまらない。
・一回目はレッスン、二回目は失敗
・意外に正義は最後に勝つことが多い。
・祈るだけでは願いはかなわない。
・技術のうまい人でなく、努力のうまい人をお手本にしろ。
・たいていはまだ先がある。
・失敗も成功も直後の対応の方が大事。
・頂点には長くいられない。
・失恋ほど勉強になるものはない。
・理想の相手は見つからないが、理想はたいてい間違っている。
・流しの皿は毎日洗え。
・頭の中が散らかっている時は部屋を片づけろ。
・一点突破全面展開。
・残り時間を数えるな。
・常識は無難な答えであって正解ではない。
・国語で5をもらう文章を書くな。
・負けることもある。
・するべきだと感じたら、たとえ一人でも拍手をしろ。
・「普通」は存在しない。
・遊ぶときは全力で遊べ。仕事をするときは無理をするな。
・経過がおもしろければ結果は気にする必要はない。
・売るための値下げはするな。
・病院と医者はよく選べ。
・究極の娯楽は愛する者の成長を見守ることだ。
・大事な思い出はビデオでなく、写真で残せ。
・一晩待ってから怒れ。
・「しかる」と「怒る」の区別がつくようになれ。

でも、本当に大事なルールは実はたった二つである。それは――

・どんなルールにも例外はある。
・そして、ルールの例外を多く知ってる人は信用してもいい。

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800/男の厨房—準備編—

3月 23rd, 2000 — 3:58pm

星一徹がセクハラや家庭内暴力を気にせずに娘の作った食事を床にぶちまけていた時代が過ぎ、世は正に男性軟弱化時代。かつて草野球と空き地のケンカで育った男の子達はすっかり年老いて、世の中核を握るのはビックリマンチョコ世代となり始めている。こんな時代なので男も料理のひとつぐらいできないといけない。
かつて、みそ汁がお湯にみそを入れたものだと思っているような料理知識や、すいかを半分に割るために二階の窓から地面に向かって投げるような料理技術が男性の間でまかり通っていた時代は終わった。今の男性たるもの、ローリエの葉とタピオカぐらいの見分けはつかないと話にならない。ペレストロイカがスパゲティーの種類だと思っている子ギャルに対抗して生き残るためには、これからは男でもヒラメとカレイを瞬時に区別できる方法ぐらい知っておきたいものだ。(正しい区別方法:魚屋に聞く。)
そこで、今回は一人前の大人のフリをしているが、実は「だし」が粉状の茶色い調味料だと思っている時代錯誤な男性諸君のための男でも分かる料理基本講座。
まず、料理に必要なもの。
一番欠かせないものは台所である。
(今、これを読んでいるほとんどの女性が絶句しているのに対して、男性の大半は「ああ、そうかー」とか後ろ頭をペチッとたたきながら顔を見合わせてうなずき合っている。)
もしあなたが国内のアパートで一人暮らしをしている独身男性なら、まず部屋の中のどこかに台所があるはずなので、それを見つけてほしい。「そんなものはうちにはない」という人も多いと思うが、もう一度よく見てほしい。確か一年ぐらい前に入居した時、玄関の付近に水道の蛇口の着いた銀色の台みたいなものがなかっただろうか。近隣のピザ店全種類の空き箱と、二週間ほど前から異臭を放ち始めた生ゴミの袋をどけて、引っ越し以来動かしていない段ボール箱の後ろを見てみよう。(ついでに引っ越した日に買って以来忘れて、すでに芽が出ているプリンも捨てるようにしよう。)
はい。それが台所です。
いいえ。靴を置く台じゃないです。それは毎朝あなたが読みもしないのに取っている朝日新聞を一年に渡って詰め込んだために、すでに発酵が始まっている玄関先の木の箱のことです。
言いたいことは分かります。今は一見、とても料理と結びつかない場所に見えるかも知れないが、きれいに掃除をして道具をそろえると、これが食事が製造される場所になるのである。
(いいえ。台所というのは水を入れておくとお湯になる瓶のことではありません。あなたは知らないかも知れないが、食事はお湯を入れて三分待つ以外にもいろいろと作り方があるのです。)
とにかく台所を片づけないことには始まらない。かつては掃除というと雑巾とバケツが主流だったのだが、今は化学雑巾とか万能クリーナーとか電気掃除機とかいろいろ便利な掃除道具が揃っている。だが、残念ながらこれらでさえ、あなたが今直面している状況の前では無力だ。掃除道具はいろいろあるが、ここであなたにお奨めしたいのはたったひとつである。
リフォーム会社。
エロビデオの通販に混ざって時々郵便受けにチラシが入っているので、その番号に電話してみよう。十五万と二日ほどであら不思議。ゴキブリが逃げるほど不潔だったあなたの台所がまるで新品のように早変わり!
次に有効なのは引っ越すことである。引っ越しが大変ならとりあえず同じアパートの隣の部屋に移ろう。たいていは隣も台所は同じような使い方をしているものだが、空き部屋になった際に大家がすでにリフォームしている可能性が高いので安心だ。ちなみに新居に着いても荷物を片づける必要はない。二日ほど経てば、また確実に引っ越すことになるからだ。
台所がすっかりきれいになったら、次は調理道具を揃えることである。代表的なものは鍋、フライパン、菜箸、包丁、まな板、炊飯器などである。どうしてもお金がない場合はとりあえず鍋と包丁とまな板だけでもよい。まずはこれを買ってきていただきたい。売っている店が分からない場合は近くの交番でお巡りさんに大きな笑顔で「包丁を売っている店を教えて下さい」と聞くようにしよう。この際、怪訝な顔つきをされたら、すかさず「最近、無性に何かを切りたくて」とうすら笑みで付け足すようにすると、うまくいけば、もう死ぬまで二度と料理などしなくてすむかもしれない。
調理器具が揃ったらさっそく調理を始めたいところだが、残念ながらそれは次回以降になりそうだ。 ――なぜかって?
それはあなたの家にある唯一の食材が、昨年の暮れに間違えてベッドと壁の隙間に落として以来、その位置で四ヶ月間忘れられて、新緑に染まっている肉まんだけだからである。

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クッキーかケーキか

3月 20th, 2000 — 1:31am

以前はこの近くにもあったんです。「ステラおばさんのクッキー」。非常に小さいながらも喫茶コーナーがあったのでよくお世話になっていました。必ず買っていたクッキーが「ライスクリスピー」。これとアイスティーで何度となく素敵なひとときを送らせてもらいました。
「ステラおばさん」が入っているのは駅ビルの地下だったのですが、ある日、そこに新しくチョコレートケーキのToppsが入るという情報を聞きました。これまたぼくの大好きなお店だったので、当然大喜びでした。特にToppsは要冷蔵なので、夏場などは新宿から持ち帰るのもなかなか難しい。近くで売っていれば今後は気がるに買えるというものだ。
そうこうしているうちに地下の改装が終わって、ある日、行ってみると売場の様子が一変していました。――すぐにToppsの看板が目に飛び込んでくる。おおーっ!噂は本当だった!と万歳を仕掛けたとき、ふとそこが「ステラおばさん」のあった場所だということに気がついた。
「二兎」がどうのこうのいうことわざが頭をよぎった。

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復活の日

3月 9th, 2000 — 1:28am

神はいた!奇跡は起きた!
いや、ほんとに。
ぼくはよく見るページはブックマークに登録している。IEの「購読」機能を使って、毎晩寝る前に更新されたページがあるかどうか確かめているのだが、この購読機能、ページが更新されていると、そのページの名前の前にチェックがつく。そして、当然の事ながらスタジオのスタッフのページはひととおり「購読」している。――そして、今日。さっき何気なく「購読」していると、あろうことか、たこすけのページ「下関見聞録」にチェックがついている。昨年の九月に登録して以来、そこには一度もチェックがついたことがなかった。いつしか意識が自動的に「チェックがつかない欄」として認識していたので、最初はパワーブックが壊れたのかと思った。「たこすけが更新した」という可能性よりも、先に「ハードが壊れた」という可能性の方を考えてしまうことがある意味怖い。でも、それぐらい久しぶりの更新だったのだ。なるほど見に行ってみると、ささやかながら日記の新コーナーが……。
そんなわけで奇跡は起きた。神の復活を目の当たりにした信者のような気分である。

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すぐ近くにある闇

3月 3rd, 2000 — 1:27am

昨日都内の某所で行われたイベントに参加した帰りのこと。すっかり遅くなって終電間近の中央線で居眠りをしていたら、いきなり電車が緊急停止した。窓から外を見ると駅でも何でもないところ。比較的人もまばらな車内で見知らぬ者同士が言い知れぬいやな予感で顔を合わせている。中央線の利用客はこの手のことになれているのである。まもなく車掌の声でアナウンスが流れた。
「ただいま緊急停止中です。原因を調査中です。しばらくお待ち下さい。」
車掌の声はおそらく繰り返し積まれた経験によって冷静なのだが、その後ろでインターホン越しに混乱の叫びや悲鳴が聞こえてくる。乗客全員の溜息が車内を走った。今年に入ってからだけでも、これでいったい何回目だろう。まもなくアナウンスの続きが流れた。
「先ほど武蔵境を出ました踏切にて、先行していました特別快速列車に人身事故がありました……」
一分前に連絡した列車である。ぼくも乗り換えようかと思ったやつだ。ぼくのとなりにいた二人の女子大生は実際に乗り換えたはずだ。現場はすぐそこなのだろう。
救急車の音が近づいてくる。しばらく帰れそうにない。時計は深夜十二時を回っていた。

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適正速度

3月 2nd, 2000 — 1:25am

今の季節、まだ少しほろ寒い日もあるのですが、風さえ吹いていなければ絶好の散歩シーズン。どこを目指すともなく、スタジオの近辺を歩いています。普段車に乗っていると見落としてしまう小さなお店やちょっとした道路脇の風景――人間に一番適しているのはやはりこの速度なんだなあ、と思います。この速度で移動している時が目も耳も一番多くの情報を拾うし、脳みそももっとも効率的に動く。二本の足がついているのはアクセルとブレーキのためじゃないんですよね。

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